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大阪地方裁判所 昭和59年(わ)5040号 判決

本店所在地

大阪府吹田市豊津町一二の五番地

アートウエルド株式会社

(右代表者代表取締役西澤眞八郎)

本籍

滋賀県愛知郡秦荘町大字野々目七二番地の一

住居

兵庫県芦屋市奥池町一三番二三号

会社役員

西澤真八郎

昭和三年八月九日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は、検察官鞍元健伸出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

一  被告人アートウエルド株式会社を罰金二、八〇〇万円に、被告人西澤真八郎を懲役一年六月に、各処する。

一  被告人西澤真八郎に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人アートウエルド株式会社(以下「被告会社」という。)は、大阪府吹田市豊津町一二の五番地に本店を置き、高周波加工品の製造販売及び繊維製品、雑貨の販売を目的とする資本金八〇〇万円(昭和五八年二月一一日以降は一、二〇〇万円)の株式会社であり、被告人西澤真八郎は、同社の代表取締役として同社の業務全般を統括しているものであるが、被告人西澤真八郎は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空あるいは水増の仕入れ及び外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五五年一一月一日から同五六年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が一億五、二六〇万一、二三〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年一二月二八日、大阪府茨木市上中条一丁目九番二一号所在の所轄茨木税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四、七二七万五、九四六円でこれに対する法人税額が一、七五六万八、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六、一五六万三、〇〇〇円と右申告税額との差額四、三九九万四、八〇〇円を免れ

第二  昭和五六年一一月一日から同五七年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が一億四、二一四万二五八円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年一二月二七日、大阪府吹田市片山町三丁目一六番二二号所在の所轄吹田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五、三三五万四四四円でこれに対する法人税額が二、〇一〇万三、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五、七一三万五〇〇円と右申告税額との差額三、七〇二万七、三〇〇円を免れ、

第三  昭和五七年一一月一日から同五八年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が二億四三三万九、六五一円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五九年一月四日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八、九四六万四、三一〇円でこれに対する法人税額が三、五二二万四、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額八、三一八万七〇〇円と右申告税額との差額四、七九五万六、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人西澤真八郎の当公判廷における供述

一  同被告人の検察官に対する供述調査

一  収税官吏の同被告人に対する各質問てん末書二四通

一  小野原秀男の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の手島宏(六通)、和田仁郎、酒井功、門田政男、小野原秀男(四通)、門田亮三、中谷光敏、岡野晋、湊秀夫(二通)、関根市朗、吉崎俊三、栃原和宣、尾崎金広、木原泰広(二通)、松本英二、小宮輝夫、八伏透次、射場光夫、射場安夫、藤本武司、谷津昌宏、北村貞夫、西川康子に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書二一通

一  被告会社作成の法人税確定申告書謄本三通

一  大阪法務局吹田出張所登記官作成の法人登記簿謄本

一  収税官吏作成の脱税額計算書三通

(法令の適用)

被告人の西澤真八郎の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当し、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人西澤真八郎を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

被告人西澤真八郎の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同法一五九条二項を適用し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二、八〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和55年11月1日

至 昭和56年10月31日

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和55年11月1日

至 昭和56年10月31日

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和56年11月1日

至 昭和57年10月31日

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和56年11月1日

至 昭和57年10月31日

〈省略〉

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和57年11月1日

至 昭和58年10月31日

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和57年11月1日

至 昭和58年10月31日

〈省略〉

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